Googleの戦略

今日は、「Google Developer Day 2008」に参加してきました。
昨年は、Google Gearsの発表で話題を呼びましたが、今年は、モバイルアプリケーション、Socialアプリケーション、マップ関連のアプリケーション等のWebプリケーションを構築するためのAPIやツールがテーマでした。


昨年からの傾向を見ると、Googleの戦略が明確に感じ取れます。それは、


「IT社会における生活プラットフォームの提供」


というもの。
現代のIT社会に対して、全てはGoogleの上(正確にはGoogleが提供するアプリケーション上)に成り立たせようとする意思を感じます。
ここで、「生活」としているのは、単にアプリケーションを提供するのではなく、人々の生活を変える可能性が大きいためです。


なぜ、そのように感じたかというと、Googleが提供する新サービスは、それ単体で何かを実現するものから、一般のユーザが開発者となるようなアプリケーション基盤を提供するようになっているからです。


開発者向けのイベントであるため、そのように感じるのは当たり前かもしれませんが、Googleの提供するものが以下のように推移していることを考えれば明らかでしょう。

  1. 検索サービスの提供(Web検索/イメージ検索/Desktop検索)
  2. DesktopアプリケーションをWebで実現するアプリケーションの提供(GmailGoogle Document)
  3. アプリケーション基盤の提供(Google GearsGoogle Code/Google App Engine


今年のセッションでも、「よりパワフルなClient」「アクセスし易いCloud」「その両者をつなぐConnectivityをよりユビキタスに(どこからでも繋がる)」という「3つのC」というコンセプトで、以下のアプリケーション基盤が中心となっていました。

  1. Gears(旧Google Gears)(WebアプリとDesktopアプリの融合)
  2. Google App Engine(Webアプリ)
  3. OpenSocialSNS
  4. Android(携帯)
  5. Google Maps APIGoogle Earth API(地図)


これで、インターネット上の静的なHTMLから、Desktop、携帯、SNS、地図、オフィスソフト、ソフトウェア開発など、一般ユーザから開発者まで、日常的に利用する領域ほぼ全てが、Googleのサービスにより成り立たせることが可能になります。
強いて言えば、まだIT化された社会で未進出である領域は、電子家電やPCのOSぐらいなものでしょうか(それも、その内、提供しそうな気がしますが)。


まだ、会社などでは、セキュリティ上の問題から利用できないケースも多いと思いますが、それでもこのような状況は4、5年前には考えもしませんでした。


良い意味で言えば、Googleのおかげで、無料かつ生産性の高いアプリケーションにより、より便利な社会になる、悪い意味で言えば、皆がGoogleに依存することで、全てはGoogleの掌の上で成り立つことになる、と考えられます。
Microsoftは、一般PCのOS分野においてほぼ独占状態を築き上げましたが、今日は、このIT社会全体規模で、Googleがそれを成し遂げようとする感じを受けました。


Googleが「IT社会における生活プラットフォームの提供」を成功させたら、まさに、世界の中心で全てを支える存在になるのでしょう。